Section R

一級建築士、野尻順滋の設計事務所

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【 視覚言語 】

2016.10.10 雑記

この写真はあなたには何に見えますか?
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その見え方はあなたの知識と経験に基づくものです。

でも子供には違った絵に見えます。
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この差は何でしょうか。

『ものの見え方、読み解き方は知識や経験に左右される』ということです。

正確には覚えていませんが、
マルセルデュシャンの作品に「泉」というものがあります。
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前衛アーティストであるデュシャンの作品から、
これを見た当時の僕はこの作品を次のように解釈しました。

「既に小便器を知っている僕たちにとっては、これは小便器(汚いもの)にしか見えない。
 でもその文明(文化)を知らない他の時代、他の民族の人にとって何に見えるか。」
「それは単なるオブジェに、しかもそれは汚いものではなく美しいオブジェに見えるかもしれない。」

そういった問いかけの作品のように思われました。

僕はそれを「視覚言語」と呼んでいます。

既に知っている形態や映像を見たときに、
その形態や映像はその人にとっての経験や知識に基づいた「意味を持った言葉」となって人に語り掛け、
そして、その形態やシーンは、その人にとってはそれ以外の何物でもなくなる。

デザインする、ということはそれを逆手に取る行為だと思います。
どうやったらその人に、あるいはより多くの人にそう見えるように形(空間)にするのか。

その人(施主さん)の話す言葉を読み解き、
その人の望む心象風景、その人の持つ(正確には、持つであろう)「視覚言語」を探り、
それを僕の持つ視覚言語で具現化(デザイン)して差し上げる。

これが僕の思っている設計という一部の行為なのかもしれません。